中東の通勤

中東の通勤手段はほぼ車である。

サウジ人の同僚から現代社会での車は昔のラクダのようなもの。

と教えられたことがある。車がそれほど身近なものになったということだろうか。

 

僕もこちらに来るまで想像できなかったが、中東の車の使用率はとても高い。

外は暑いし、大地が広いために建屋と建屋の距離があり、車以外の交通手段をとるストイックな心を持った人は少ない。

ここで僕が驚いたこと、それは交通マナー。

といっても、もはやマナーという言葉は存在しない。

まずスピード。100kmオーバーが普通速度といえる。高速道路ではなく、普通の民家の間でも加速は当たり前。

第二に玉突き事故の多さ。毎朝玉突き事故を目撃する。それも2、3台はかわいいほうで、多い時には6、7台はいく。それもそのはず車間距離は手を伸ばせば届くくらいの距離であり、前の車が急停止した際には止まりきれないからだ。

第三に渋滞。これが一番衝撃的だった。サウジでは至るところで渋滞が起きている。

どこでかというと玉突き事故。と、分岐前。合流時点ではなく、分岐前。

それはなぜかとよくよく観察したところ、こちらの車線変更の遅さからといえる。日本からしたらもはや手遅れの位置でも平気で車線変更をしてくる。具体的には左右分岐があったとして、左レーンいっぱいに走っていた車が突然右車線に移ってきて、右コースに行くという行動。

渋滞しスピードがでていない分、後ろの車に追突されることないのだが、それが起こるために渋滞は解消されない。

警官よ!取り締まってくれよ!と思って近くで停車しているパトカーを見ても、若い警察官はうつむいて携帯ゲームをやっている様子。

郷に入っては郷に従え。

僕は会社がチャーターしているバンに乗るため、運転しているわけではない。

が、初めて出社した日は、車が衝突しそうになったり、前の車との車間距離が近すぎていてもたってもいられなく、途中のドライブスルーで買ったコーヒーを一口も飲めなかった思い出がある。

それでも僕はもう半年くらい同じバンで同じ道路を通勤しているが、毎日無事オフィスに到着する。

毎日繰り返してはいるものの、到着した車から降りたときの安堵感には少し笑える。